創業者Valerieインタビュー【前編】
Parker & Taliaは、二人の子どもを育てる一人の母親の実体験から始まりました。
服の縫い目やウエスト部分、靴下の感触がどうしても気になる子どもたち。忙しい朝、たった一足の靴下を履くことができず、家を出るまでの時間が親子にとって大きな負担になることもありました。
創業者Valerie(ヴァレリー)は、そんな日々のなかで、ある問いにたどり着きます。
「どうしたら子どもにこの服を着てもらえるだろう」ではなく、「子どもに我慢を求めず、服の方を変えることはできないだろうか」。
今回は、Parker & Taliaが生まれるまでの物語を、Valerie自身の言葉とともにご紹介します。
靴下ひとつで、家を出られない朝
Valerieの子どもたちは衣服の感触に敏感なところがありました。例えば靴下です。毎朝履く靴下が忙しい朝の大問題になる日々でした。
特にショックだったのは娘が素足のままレインブーツを履いて過ごしていた時期です。天候も、その日の服装も関係なく、ほぼ一年間、靴下を履かずにレインブーツで過ごしたのです。
「学校へ行こうとしているのに、靴下の感触が合わない、ウエスト部分が気になる、何かが不快だという理由で、すべてが止まってしまう朝が何度もありました」
まだ事情を十分に理解できていなかった頃は、Valerieにも焦りやいら立ちがありました。
「『靴下一足で遅刻するなんて』と、つい考えてしまうんです。でも子どもが感じている不快感は、子どもにとっては本物なのです」
大人には小さく思える刺激でも、子どもにとっては、着続けることが難しいほど大きな不快感になる。その気づきは、Valerieの親としての向き合い方を大きく変えました。

子どもに合わせて、服の方を変えられないか
服をつくるファッションデザイナーとして経験を積んできたValerieだからこそ、あるとき問題の見方を変えることができました。
子どもに「この服を着られるようになってもらう」方法を考えるのではなく、子どもがつらいと感じる服のつくりそのものを見直したのです。
「なぜ、ひどく不快に感じるものを子どもに我慢してもらい続けるのでしょう。子どもではなく、服の方を変えることはできないだろうかと思いました」
この発想の転換が、Parker & Taliaの始まりでした。
ブランド名の「Parker」と「Talia」は、Valerieの二人の子どもの名前です。家庭のなかで起きていた切実な困りごとに向き合い、二人が実際に着られるものをつくることから、商品づくりがスタートしました。
いちばん正直な「着用テスター」
ParkerとTaliaは、最初の商品を試す大切な存在でもありました。Valerieは、感覚に敏感な子どもほど、大人の説明ではごまかせない、いちばん率直なテスターだと話します。
大人が「これは心地よいはず」と説明しても、子どもが不快に感じれば、着続けることはできません。
Valerieが見ていたのは、言葉だけではなく、子どもたちの行動でした。
そのまま着続けているか。どこかを引っ張り始めないか。脱ぎたいと言わないか。そして翌日、親から勧めなくても、もう一度自分で選ぶか。
「子どもが自分からもう一度その服に手を伸ばす。それは、どんなアンケートよりも確かな評価だと思いました」
着られたかどうかだけでなく、また着たいと思えたかどうか。子どもたちの反応は、その後の商品づくりにも大きく影響していきました。
「感じ方」を信じるところから
Parker & Taliaの原点にあるのは、子どもが訴える違和感を、大人の基準で小さく扱わないことです。
靴下の縫い目、ゴムの当たり方、生地の感触。周囲にはわかりにくくても、その子が「何かが気になる」と感じていることには理由があります。
子どもを服に慣れさせることだけを答えにせず、服のつくりを変えることで、朝の負担を一つ減らせるかもしれない。
二人の子どもとの毎日から生まれたこの考え方が、現在もParker & Taliaの商品づくりの中心にあります。
次回の後編では、SmoothToe™がどのように開発されたのか、感覚に配慮した服づくりでValerieが大切にしていること、そして日本への思いをご紹介します。